2025年度、厚生労働省が“賃上げ支援”に本気です。
■ 助成金がもらえる。それだけで終わらせない活用を。
賃上げに取り組む企業への支援策として、厚生労働省が2025年度から本格的にスタートしたのが「賃上げ支援助成金パッケージ」。
注目のポイントは、「どの助成金を選べばいいか」が分かりやすく整理されたこと。中小企業にとっても活用しやすくなりました。
■ 賃上げ支援助成金パッケージってどんな制度?
このパッケージには、8つの助成金制度が含まれています。大きく分けて次の3つの目的に対応しています:
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生産性向上のための支援(設備投資・業務改善など)
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非正規と正規の格差是正(待遇改善・制度整備など)
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より高い処遇への労働移動支援(人材確保や訓練・育成)
中小企業が対象となる制度も多く、“できる範囲の取り組み”で助成金を活用できる設計になっています。
■ 主な助成金と「具体的な金額・条件」
以下に、チラシに掲載されている助成金の中でも中小企業にとって特に使いやすいものをピックアップしてご紹介します。
【業務改善助成金】
事業場内最低賃金の引上げ+設備投資が条件
・【例】時給を45円引き上げ → 最大100万円支給(5人対象の場合)
・上限額は90円引上げで最大600万円
【キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)】
非正規社員(有期雇用など)の賃金規定を改定して引き上げた場合に支給
・賃上げ率6%以上なら 1人あたり最大7万円 支給
・昇給制度の導入でさらに 1事業所あたり20万円加算
【働き方改革推進支援助成金】
労働時間の削減・年休取得の促進+賃上げ+設備投資に取り組んだ場合に支給
【労働時間短縮・年休促進コース】
・月の時間外労働を80時間超⇒60時間以下に
・年次有給休暇の計画的付与制度新規導入 などの取り組みに加え
賃金引き上げの割合に応じて最大360万円が加算(従業員が30人以下の場合は倍額)
【業種別課題対応コース】 建設業の場合:最大1,270万円の支給も可能(条件あり)
【人材開発支援助成金】
正社員に職務に関連した訓練を10時間以上行った場合、訓練にかかった経費や訓練期間中の賃金の一部を助成。
【例】10時間の訓練経費が10万円+賃上げ → 最大 7万円支給(1人につき)
※非正規社員に人材開発訓練を受講させたのち正社員に転換すると、「キャリアアップ助成金」の第2期の申請ができます。
(令和7年4月以降の変更点)
【人材確保等支援助成金】
雇用管理制度の改善整備・雇用管理改善機器等の導入費用+離職率低下+賃上げを条件に支給
雇用管理改善制度とは:賃金規程制度・諸手当等制度・人事評価制度・職場活性化制度、健康づくり制度
雇用管理改善機器等とは:フォークリフトや介護ソフト、食器洗浄機などの従業員の作業負担を軽減する設備
雇用管理改善制度+5%以上の賃上げ → 最大 287.5万円
■ 「助成金で制度を整える」から「制度を活かして職場を整える」へ
これらの助成金は、単に「お金がもらえるからやる」ものではありません。
本当に大切なのは、制度導入を通じて職場に“働きやすさ”を育てること。
昇給のルールを明確にして社員のやる気を引き出す
パート・アルバイトもキャリアアップを目指せる制度をつくる
無理のない労働時間で生産性を上げる工夫を取り入れる
これらの取り組みが、結果的に人材の定着・採用コスト削減・職場環境改善へとつながります。
■ 「うちは対象外…」と思っていませんか?
よくある誤解と事実を比べてみましょう:
誤解 | 実は… |
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うちは社員が1人しかいないけど・・・ | 社員がお1人でもいれば、対象になる可能性があります |
パートや契約社員は対象外? | 非正規雇用も対象になります |
難しい手続きが必要? | 専門家のサポートでスムーズに進められます |
■ 助成金は“目的別”に選ぶのがポイント!
自社の経営課題と助成金の「目的」を照らし合わせてみましょう。
経営課題 | 合う助成金例 |
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生産性を上げたい | 業務改善助成金・働き方改革推進支援助成金・人材確保等支援助成金 |
非正規社員の待遇を改善したい | キャリアアップ助成金 |
社員教育の費用を賄いたい | 人材開発支援助成金 |
■ よくある質問(Q&A)
Q. 賃上げの時期はいつがいい?
A. 助成金の多くは「賃上げを実施すること」が条件。タイミングについては助成金ごとにご相談ください。
Q. 必要な書類が多そうで不安です…
A. 就業規則・賃金台帳など基本的な書類は必要ですが、社会保険労務士など専門家と連携すれば安心です。
■ まとめ:今こそ、“できる範囲”での賃上げにチャレンジ!
今年度の助成金制度は、賃上げに取り組む企業への後押しが強化されています。
「設備投資+賃上げ」「昇給制度の導入」など、小さな工夫で【数十万〜数百万円の支援】を受けるチャンスがあります。
まずは「自社にどんな助成金が合っているか」をチェックしてみてください。
ご相談はお気軽にどうぞ。
「どの助成金が使えるの?」「書類の準備は?」
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
当事務所では、中小企業の助成金活用を丁寧にサポートしています。