助成金活用のヒント

令和7年度版 人材開発支援助成金「人材育成支援」の3つの訓練コース(2)

”人材育成支援コース”の特徴・助成内容・使い方をやさしく解説

1. コースの全体像(3つの柱)

人材開発支援助成金は、職務に関連した専門的な知識や技能の習得を目的とした「職業訓練」に対して支給されます。令和7年度は以下の3つの訓練コースが設定されています。

コース名 主な対象 特徴
人材育成訓練 在籍中の労働者 OFF-JTのみ。最もベーシックな研修コース
認定実習併用職業訓練 新卒等の採用者 厚労大臣の認定が必要な、OJT+OFF-JT型
有期実習型訓練 有期契約社員など 正社員化を目的とした実践型OJT+OFF-JT

2. 各コースの概要と助成内容

(1)人材育成訓練【最も利用しやすいコース】

・対象者: 雇用保険に加入している正社員やパート
・訓練内容: 10時間以上のOFF-JT(座学・eラーニング)のみ
・助成内容(中小企業):
経費助成:70%(有期契約労働者)、45%(正社員)
賃金助成:1人1時間あたり800円(+賃金上昇など要件満たせば最大1,000円)

eーラーニング・通信制による訓練は「経費助成」のみ。
言い換えれば、eーラーニングのみであっても経費助成されます。
例えば、20万円の訓練を5名受講すれば9万円×5名=45万円が助成されます。

(2)認定実習併用職業訓練【新卒採用向け】

・対象者: 新卒等、就業経験の浅い採用者
・訓練内容: OJT+OFF-JTのセット訓練
・助成内容(中小企業):
経費助成:45%(+条件満たせば最大60%)
OJT助成:1人1コースあたり20万円(+最大5万円加算)
賃金助成:1人1時間あたり800円(+賃金上昇など要件満たせば最大1,000円)

訓練開始の30日前までに、「実践型人材養成システム実施計画」を提出し、厚生労働大臣の認定が必要

実践型人材養成システム実施計画って?
主に、新規学卒者を対象とした企業内等での実習(OJT)と、教育訓練期間での座学等(OFF-JT)を効果的に組み合わせた実践的訓練です。ジョブ・カード作成が必要となります。

(3)有期実習型訓練【正社員転換を目的とした訓練】

・対象者: 有期契約労働者
・訓練内容: OJT+OFF-JT。訓練修了後に正社員転換が前提 ⇒ キャリアアップ助成金と組み合わせて申請
・助成内容(中小企業):
経費助成:75%(+最大100%まで加算)
OJT助成:1人1コースあたり10万円(+最大3万円加算)
賃金助成:1人1時間あたり800円(+賃金上昇など要件満たせば最大1,000円)

訓練終了後に正社員転換が行われないと、助成対象外になる可能性あり。
訓練受講者はジョブ・カードを作成、キャリアコンサルティングを受ける。

3. 比較表で見る違い(中小企業版)

コース名 経費助成率 賃金助成 OJT助成 主な対象
人材育成訓練 45〜70% 800円/h
(+200円加算)
在籍社員向けの研修
認定実習併用訓練 45%
(+15%)
最大
25万円
主に新規学卒者向けの訓練
有期実習型訓練 75%
(+25%)
最大
13万円
有期社員→正社員転換目的

4. どのコースが合っている?

・社内でスキルアップを図りたい既存社員には → 人材育成訓練

・新卒・未経験者を育てたい場合は → 認定実習併用職業訓練

・契約社員を正社員にしたいなら → 有期実習型訓練

「対象者」「目的」「雇用形態」によって最適なコースは変わります。

5.助成を受けるには、「事前手続き」が命です

繰り返しお伝えしていますが、「研修を終えてから申請」ではもらえません。
助成金を受けるには次の流れが必要です。

1. 訓練開始の1ヶ月前までに「計画届」などを労働局へ提出
2.研修を実施・研修費用の支払い
3.訓練終了日の翌日から2カ月以内に支給申請
有期実習型訓練の場合なら、さらにジョブ・カード作成やキャリアコンサルティングもこの流れの中に入ってきます。

6. まとめ:迷ったらまず計画相談を!

どのコースを選ぶにしても、共通して重要なのは「研修前の計画提出」です。
対象訓練かどうかの判断や、制度変更の最新状況を把握するには、専門家への事前相談が近道です。

当事務所では、対象コースの選定や申請書類の作成段階からサポートしています。
「この研修、助成金の対象になる?」という段階で、お気軽にご相談ください。

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