隠れた名助成金「高年齢者無期転換コース」とは?
キャリアアップ助成金ほど知られていませんが、「高年齢者無期転換コース」は就業規則の整備を行い、パートさんやアルバイトを無期雇用に転換するだけで申請可能な、非常に使い勝手の良い助成金です。
- 賃金アップ不要
- 賞与支給も不要
- 必要なのは、制度整備と有期契約労働者の無期転換(無期転換後は雇用保険加入要)だけ
今回、この助成金を活用して、96万円の支給決定が下りました!
大阪市の製造業の事例:高年齢パートの活用が鍵
申請を行ったのは大阪市の製造業。中高年パートさんが多く在籍する職場です。
2名の新規採用を機に、この助成金をご提案。ところが、制度整備に大きなハードルがありました。
平成4年の就業規則で止まっていた…
調べてみると、就業規則はなんと平成4年制定のまま。
当然、「無期転換制度」などの記載はなく、定年や有期雇用労働者についての規定も不十分でした。
特に驚いたのがこの点:
60歳定年と規定されているにもかかわらず、
67歳で17年以上勤続のパートさんが在籍!
さらにこの方、契約更新の記録がなく、実態として無期雇用状態でした。
優秀なパートさんには長く働いてもらいたいと社長がお考えだったので、何度も打合せし、労働局にも相談させていただきました。
余談ですが
60歳定年にもかかわらず、そのまま契約の更新や見直しをしないまま就業させていたり、60歳を超えて雇い入れているのにその定めがない就業規則を使っている会社さんも散見されます。
就業規則をフルリニューアル
定年や有期契約については、以下のような内容で就業規則を見直しました。
- 正社員・無期パート:60歳定年、65歳まで継続雇用
- パートタイマー:1年更新、上限65歳
- 会社が特に認めた場合は70歳まで有期雇用可
さらに細かく、
- 60歳超で無期転換した場合 → 第2定年(65歳)
- 65歳超で採用された場合 → 更新上限70歳
- 66歳採用→無期転換→→第3定年:73歳
という、三段階の定年設計で現実的な運用に備えました。
忘れてはいけない「第二種計画認定申請」
ここで必須となるのが、「第二種計画認定」。
これは「60歳以上の有期契約労働者に対して、無期転換ルールの適用除外が認められる制度」です。
もしこれを出していなければ、
「70歳を過ぎても5年ルールで無期転換」→「定年がなくなる?」
という事態に・・・。
就業規則に何の定めもせず、この届出を行わなければ、無期転換したパートさんが90歳になっても100歳になっても雇用を希望する限り雇い続けなければなりません。
会社の裁量で人材配置を行うためにも、第二種計画申請は必須です。
📌 注意点:第二種計画認定の「対象」は限定されている
第二種計画認定は便利な制度ですが、全ての高年齢有期労働者に効力が及ぶわけではありません。
この制度の効力があるのは、就業規則に定める定年を迎えてもなお(無期労働契約後)、継続して就業する労働者に対してのみです。
つまり、単に「有期契約で5年を超えて勤務した高年齢労働者」に対しては、第二種計画認定の効力は及ばない点に注意が必要です。
高年齢者の働き方を、会社としてどう支えるか
実際には「70歳を過ぎても働きたい方」は少ないかもしれません。
しかし、65歳を超えても元気で活躍される方は確実に増えています。
- 人手不足
- 技術や経験の継承
- 健康状態の不安や配慮
これらをバランスよく考え、制度設計をすることが中小企業にとって重要です。
まとめ:計画的な制度設計で、助成金と人材活用を両立
「高年齢者無期転換コース」と「第二種計画認定」をうまく活用すれば、
会社にとって無理のない形で高齢者の雇用継続が可能になります。
制度をうまく使いこなし、人手不足の今こそ、元気な高齢者に活躍してもらえる環境を整えましょう。
第二種計画認定申請や助成金に関するご相談はお気軽にどうぞ。