研修や訓練費用、賃金助成が受けられる
事業主が雇用する従業員に対して、その職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
令和6年度は
①人材育成支援コース
②教育訓練休暇等付与コース
③人への投資促進コース
④事業展開等リスキリング支援コース
の4つのコースがあります。
今回は、よく使われる人材育成支援コースのうち「人材育成訓練」と「有期実習型訓練」についてご案内します。
人材育成支援コース
◆人材育成訓練:OFF-JT(職場や業務から離れて実施される研修や学習のこと)を実施
◆認定実習併用職業訓練:OFF-JTとOJT(職場内で行われる、実際の業務を通じて上司や先輩から直接指導を受けるもの)を実施。
実習併用型職業訓練(厚生労働大臣の認定を受けた訓練)を行う場合を対象としている。
◆有期実習型訓練:OFF-JTとOJT(職場内で行われる、実際の業務を通じて上司や先輩から直接指導を受けるもの)を実施。
人材育成訓練コースの主な要件
10時間以上のOFF-JTによる訓練
●対象労働者は、雇用保険の被保険者であれば正社員でも非正規社員でも可。
訓練の受講した時間数が、実訓練時間の8割以上であること。
●職業能力開発推進者の選任
●事業内職業能力開発計画の策定
(厚生労働省 令和6年度 人材開発支援時助成金(人材開発支援コース)のご案内 リーフレットから引用)
●自社の従業員への周知が必須
助成内容
経費助成 | 賃金助成 | |
雇用保険被保険者 (有期契約労働者を除) |
45%(30%) | 760円 (380円) |
有期契約労働者の場合 | 60% | |
有期契約労働者を正規雇用労働者等へ転換した場合 | 70% |
実際の計画届には、訓練・研修の内容や実施会場がわかるパンフレット等を添付します。
有期実習型訓練コースの主な要件
【基本型】と【キャリアアップ型】がある
有期契約労働者等の正社員転換等を目的として実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練
【基本型】 訓練対象者を新たに雇い入れる場合
管轄労働局長による職業訓練実施計画届の提出後、ジョブカード作成アドバイザー等による面接を受ける
【キャリアアップ型】すでに訓練対象者を雇い入れている場合
ジョブ・カード作成アドバイザー等による面接を、職業訓練実施計画届の提出前に受ける
キャリアコンサルティングの実施
訓練受講者は、「ジョブ・カード」を作成し、事業主が作成した訓練カリキュラムに基づき、ジョブ・カード作成アドバイザー等による面接を受け、訓練の必要性の有無について確認を受ける。
●訓練の要件
実訓練時間が10時間以上、総訓練期間が2か月以上の訓練である
総訓練時間が2か月以上、OFF-JTの実訓練時間数が10時間以上
総訓練時間数が6か月あたりの時間数に換算して425時間以上であること
総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること
●訓練終了後に、職業能力の評価を実施
助成内容
経費助成 | 賃金助成 | OJT実施助成 (1人1コース当たり) |
|
雇用保険被保険者 (有期契約労働者を除) |
45%(30%) | 760円 (380円) |
10万円 (9万円) |
有期契約労働者の場合 | 60% | ||
有期契約労働者を正規雇用労働者等へ転換した場合 | 70% |
ジョブ・カードの作成については、キャリアコンサルタントに相談できます。
ハローワークで無料で実施されていますので、お近くのハローワークに問い合わせてみてください。
都道府県によっては、専用のキャリアコンサルティングの相談窓口を案内してくれることもあります。
有期実習型訓練+正社員化の流れ(中途採用・キャリアアップ型の場合)
①対象労働者にキャリアコンサルティングを実施
②労働局に計画届を提出
③労働局が計画届を認定
④対象者に訓練開始
⑤訓練終了後に支給申請書提出
⑥有期実習型訓練助成金入金
⑦キャリアアップ助成金正社員化コース第1期支給申請
⑧キャリアアップ助成金正社員化コース第2期支給申請
おススメポイント
この助成金とキャリアアップ助成金正社員化コースと組み合わせることで
①正社員化コースで必要な、6カ月の有期雇用期間を最短で2カ月に短縮できます。
②正社員化コースの第1期目に支給される40万円に「訓練加算額」95,000円が加算されます。
注意点
・計画届提出後に計画の変更があった場合は、訓練実施前までに変更届を提出する必要があります。
変更届を提出しないと、変更された訓練にかかる費用について支給されないので、必ず忘れないように提出してください。
・訓練日報をきちんと作成してください。
毎回、同じ内容をコピペしているような日報はダメです。
・有期実習型訓練は余裕を持った内容にし、実施する場合は計画通りに行ってください。
きちんと実施しているかどうか、労働局が調査にくることがあります。
・有期実習型訓練の助成金が受給できないと、その後のキャリアアップ助成金正社員化コースも受給できなることがあります。