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高卒採用セミナー参加レポート② ルールと実務のポイント

前回に続き、商工会議所主催「高卒採用セミナー」の内容をレポートします。今回は、高卒採用ならではのルールと、実務を進める上でのポイントについてです。


高卒採用のルール(三者協定)

高卒採用には「三者協定ルール」という独自の仕組みがあります。
これは、企業・学校・公共職業安定所(ハローワーク)の三者が取り決めたルールで、以下の3つが特徴的です。

  1. 学校を介した生徒との接触
    企業は、高校生と直接コンタクトを取ることはできず、基本的に「職場見学」と「面接」でしか接点を持てません。
    求人票もハローワークの確認を経て高校に届けられ、就職担当の先生が内容を精査して、生徒に合いそうな企業を紹介する形です。
    つまり、先生にいかに「自社の魅力」を理解してもらえるかがカギとなります。

  2. 短い採用スケジュール
    6月1日から求人受付が始まり、7月1日に求人票が開示。7月から8月にかけて学校訪問や職場見学が行われ、9月5日には一次応募(学校推薦)がスタートします。今年は9月16日から選考開始。およそ1週間以内に採否を通知するのが暗黙の了解だそうです。ちょうど今頃、結果が出ている頃でしょうか・・・。
    一次で全体の6割が決まり、残り4割は10月以降の二次募集に臨む流れ。大卒採用と比べると、非常にタイトなスケジュールです。

  3. 一人一社制
    応募は基本的に一人一社まで。都道府県によっては二社まで認められるところもありますが、実際には先生の業務負担や生徒の理解不足から、二社応募が徹底されていないケースも多いそうです。
    ここでも、先生の関与度合いが大きく影響します。


実務上のポイント

セミナーで特に強調されていたのは「学校訪問の重要性」です。

  • 訪問と郵送の違い
    求人票を郵送するだけでは埋もれてしまいます。学校では「訪問して直接持参した企業を優先する」傾向があるため、本当に採用したい高校には必ず訪問すべきだとのこと。
    実際、7月初旬には企業の担当者が高校に行列を作る光景も見られるそうです。

  • 先生へのアプローチ
    先生に伝えるべきは「自社の強み」「同業他社との違い」「採用したい人材像」。
    これは一般の採用と同じですが、高校生向けである点を意識して「分かりやすい言葉」で伝える必要があります。

  • PRツールの工夫
    パンフレットはもちろん、今では動画の活用が常識になりつつあります。QRコードやURLを添付して、生徒や先生が気軽にアクセスできるように工夫する企業が増えています。
    ただし、社会経験のない高校生にとっては「分かりやすさ」「安心感」が大切だと感じました。


必要な活動量の現実

数字で見ると、高卒採用の大変さが分かります。
1名の採用を実現するには、平均16校以上の訪問が必要。2名採用なら22校。一方で、10校以上訪問しても採用ゼロに終わるケースも珍しくありません。
求人票の発送数も200校以上にのぼり、複数名を採用する場合は300校規模になるそうです。

「地元採用だから効率がいい」と思われがちですが、実際にはかなりの労力がかかることも分かりました。


求人票の特徴

一般求人票が50項目程度なのに対し、高卒求人票は80項目以上。特に「青少年雇用情報」という欄が特徴的です。

  • 募集・採用に関する情報

  • 職業能力開発や向上の取り組み状況

  • 職場定着促進の取り組み状況

これらは、高校生に「安心して応募できる会社かどうか」を判断してもらうために必須の情報です。


私自身の気づき

今回のセミナーを聞いていて強く思ったのは、「高校生は社会を知らないから、先生の意見や求人票の内容が人生をも左右する」という現実です。
高卒で、労働基準法や職場環境の知識が乏しいまま大手外食チェーン店に就職した結果、過酷な労働で体調を崩してしまい、労災認定された事件が、最近新聞に載っていたことを思い出しました。

だからこそ、採用する企業側は「正しい情報を誠実に提示する」ことが不可欠ですし、同時に「高校生向けの労働リテラシー教育」も社会全体で必要なのではないか、と感じました。


まとめ

高卒採用は、独自のルールに基づいた特殊な採用活動です。

  • 学校を介する仕組み

  • タイトなスケジュール

  • 一人一社制の制約
    これらを理解した上で、学校訪問や求人票作成に工夫を凝らすことが成功のポイントです。

単なる「人材確保」ではなく、「次世代を育てる取り組み」と捉えることで、高卒採用は企業の未来にとって大きな投資になるはずです。

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