助成金活用のヒント

賃金計算期間の途中に正社員転換したら、社会保険料はいつ変わる?キャリアアップ助成金の申請時期は?

10月に正社員転換したんだけど・・・

10月1日付でアルバイトを正社員に転換した——そんなとき、社会保険料の金額はいつから変わるのでしょうか?
「転換した月から?」「翌月から?」といったご質問をよくいただきます。

この記事では、転換後の社会保険の取扱いと、あわせて活用できる
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請時期についてわかりやすく解説します。

アルバイトから正社員へ——社会保険上の扱いは?

アルバイトから正社員に転換しても、もともと健康保険・厚生年金の被保険者資格がある場合はそのまま継続です。
あらためて資格取得届を出す必要はありません。

ただし、正社員化にともなって基本給が上がる・手当が増えるなど、
固定的賃金に変動があると「随時改定(保険料の見直し)」の対象になる可能性があります。

随時改定の“起算月”はどこ?

随時改定は、原則として「昇給などがあった月からの3か月間の平均報酬」で判断します。
ただし注意したいのが、給与計算の締日と支払い日です。

たとえば「毎月15日締め・当月末払い」の会社が10月1日に転換した場合、10月分の給与にはアルバイト時代の賃金も一部含まれることがあります。
このようなときは、正社員の給与が1か月分まるまる反映された月(この例では11月)が起算月になります。

つまり、11月・12月・1月の3か月平均で判定することになります。

(令和5年6月27日事務連絡 「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集」の一部改正について)

保険料が変わるのはいつ?

3か月の平均報酬をもとに算出された等級と、現在の等級に
2等級以上の差がある場合、翌月(この例では2月)から新しい標準報酬月額に変更されます。

つまり、「10月転換 → 2月改定」が一般的な流れになります。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)との関係

正社員転換の際には、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の活用も検討しましょう。

助成金の対象となるのは、
・非正規雇用から正規雇用へ転換した従業員
・転換に伴い賃金が3%以上アップしていること
などが条件です。

この「賃金アップ」が随時改定に該当する場合に、転換後には「社会保険手続き」も必要になります。

また、助成金の申請期限は正社員転換して6か月経過後、その6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内
このケースの場合、正社員転換後の最初の賃金支払い日が10/31となりますが、賃金総額の計算には「完全月」6か月間をみます。
すると、10/16~11/15の賃金支払い期間が1か月目となり、6か月後の4月の賃金支払い日(4月末日)の翌日(5/1)から2カ月以内に支給申請となります。
賃金計算期間の考え方は、社会保険と同じですね。

社会保険の改定時期も確認しながら、余裕を持って準備することが大切です。

実務チェックリスト

  • 転換日と賃金締め日、賃金支払い日を確認したか?
  • 昇給・手当の内容が「固定的賃金の変動」にあたるか?
  • 転換後の賃金が1か月分まるまる反映される月を把握しているか?
  • キャリアアップ助成金の申請期限(転換後、完全月6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内)を管理しているか?

まとめ

正社員転換は、社会保険・賃金・助成金がすべて関わる重要なイベントです。
タイミングを整理しておけば、手続き漏れや助成金の取り逃しも防げます。

転換の前後は、社会保険労務士など専門家に相談して、スムーズに進めていきましょう。

この記事に関するご質問・ご相談は、以下よりお気軽にどうぞ。

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