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個人事業者等の業務上災害報告制度を創設 令和9年1月施行

厚生労働省は、個人事業主の業務上災害を把握できる仕組みを整えるため、労働安全衛生規則などを改正する方針を示しました。
令和9年1月の施行をめざしており、すでに労働政策審議会でも「妥当」との答申が出ています。

これまで、労働基準監督署に報告義務があったのは「労働者」に限られていました。
そのため、一人親方の事故やケガは統計に反映されず、実態が見えにくいという課題がありました。
新しい報告制度は、その“安全衛生の空白地帯”を埋めることが目的です。

実は、私の夫も建設業の一人親方であり、同時に元請け業者でもあります。
この改正を聞き、他人ごとではない、と思います。

自分がけがをした場合はもちろん、
一緒に働く職人さんが被災した場合も報告が必要になるかもしれません。小さな現場ではよくあることです。
“報告の主体”が誰になるかを、今のうちに整理しておくことが大切です。

一人親方の災害も報告対象に──なぜ今、制度が変わるのか?

建設現場などで働く「一人親方」やフリーランスの方が、仕事中にケガをしても、これまでは労災として報告されないケースがほとんどでした。
「労働者ではないから関係ない」と思われてきたこの分野に、大きな変化が起きようとしています。

 

■ 改正のポイント

  • 対象者:建設業などで働く個人事業主(例:一人親方)
  • 報告義務者:同じ場所で働く直近上位の注文者(特定注文者)
  • 対象となる災害:死亡、または4日以上の休業
  • 罰則:なし
  • 特定注文者がいない場合:災害発生場所の管理事業者が報告
  • 脳・心疾患、精神障害の場合:本人が直接、労基署へ報告可
  • 中小事業主や役員が被災した場合は、所属企業が所轄監督署に報告

報告義務が発生した場合、特定注文者は労働基準監督署へ遅滞なく報告する必要があります。

個人事業者等災害報告制度の報告事項
①報告者に関する情報
労働保険番号・事業所の名称・災害発生場所の事業場や工事名・元方事業者名称等
②被災者に関する情報
氏名・生年月日及び年齢・性別・職種・経験期間・傷病名・傷病部位・特別加入の状況・休業見込み期間又は死亡日時・外国人の場合における国籍等
③災害に関する情報
負傷又は疾病の発生日時・発生場所の所在地・発生状況及びその略図並びに原因
④その他
報告年月日・報告者の職氏名

■ 報告は原則として電子申請

労働者死傷病報告は、今年1月から電子申請が義務化されています。

個人事業者等の業務上災害の報告制度についても電子申請を原則としています。
経過措置として、当分の間電子申請によることが困難な場合は紙媒体での報告を認めます。

■ 一人親方が知っておくべきなのは・・・

個人事業者が災害発生を伝達できる場合には、自分から元請けへの報告義務があります。
報告したことで、不利益を受けない保護もあります。

■ 「罰則なし」でも無視できない理由

今回の制度には罰則規定が設けられていません。
しかし、だからといって「報告しなくてもいい」という話ではありません。

現場で災害が起きたにもかかわらず報告を怠ると、
後の労基署調査や再発防止計画の際に「安全管理体制が不十分」と見なされるおそれがあります。
元請・注文者としての信頼を守る意味でも、適切な対応が求められます。

■ いま、なぜ制度が変わるのか?

建設業を中心に、フリーランスや一人親方として働く人は増加傾向にあります。
こうした働き方の多様化が進む中で、「労働者ではない人の安全」をどう守るかが新しい課題となっています。

今回の制度改正は、単なる「報告ルール」ではなく、
“個人事業主も含めた安全文化”を根づかせるための第一歩といえます。

 

 

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