女性の健康課題に企業が本腰を入れる時代に
働く女性の4割が、月経や更年期などの健康課題を理由に、キャリアアップを諦めた経験があることをご存じでしょうか。
厚生労働省は、こうした状況を改善するため、職場における女性の健康支援に積極的な企業を評価する新しい認定制度「えるぼしプラス(仮称)」の創設を進めています。
人手不足が深刻化する中、健康上の理由で優秀な人材が退職したりキャリアを諦めたりすることは、企業にとっても大きな損失です。
さらに、2025年4月からは両立支援等助成金に「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」が新設されました。
制度整備と助成金を組み合わせた総合的な支援体制が整いつつあります。
■「えるぼしプラス」認定とは
新設される「えるぼしプラス」認定は、既存の「えるぼし」「プラチナえるぼし」認定を取得する企業が、さらに女性の健康課題への取組みを行っている場合に付与される追加認定です。
認定の主な要件
- 休暇・柔軟な働き方制度の導入
- 女性の健康上の特性に配慮した休暇制度
- 半日・時間単位の年休、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークなどのいずれかの導入
- 方針の明確化と周知
- 女性の健康への配慮に関する方針の社内周知
- 研修の実施
- ヘルスリテラシー向上のための取組み(研修会、啓発冊子、動画配信など)
- 相談体制の整備
- 相談に応じる業務担当者の選任と周知
■助成金で取組みをサポート!「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」
2025年4月から、両立支援等助成金に「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」が新設されました。これは、従来の不妊治療支援を大幅に拡充し、月経や更年期による症状への対応も含めた総合的な支援制度です。
従来の不妊治療支援は要件が厳しく活用しづらい面がありましたが、今回の改正で申請のハードルが大きく下がりました。
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■認定と助成金を組み合わせた戦略的アプローチ
「えるぼしプラス」認定と両立支援等助成金を組み合わせることで、大きな相乗効果が期待できます。
推奨される取組みステップ
ステップ1: 助成金を活用した制度整備
- 両立支援等助成金を活用して、休暇制度や柔軟な働き方制度を整備
- 相談担当者を選任し、就業規則を改定
ステップ2: えるぼし認定の取得
- 女性活躍推進の取組みを進め、「えるぼし」または「プラチナえるぼし」認定を目指す
えるぼし・くるみん取得で優遇措置
ステップ3: えるぼしプラス認定の取得
- 整備した制度を活用し、「えるぼしプラス」認定を申請
このように段階的に取り組むことで、助成金による経済的サポートを受けながら、認定による企業価値向上も実現できます。
■企業にとってのメリット
この取組みは、単なる「コンプライアンス対応」ではありません。企業経営にとって以下のような実質的なメリットがあります。
- 助成金の獲得 – 最大90万円の経済的支援
- 人材の定着率向上 – 健康課題による離職を防ぐ
- 企業イメージの向上 – 認定取得による採用競争力の強化
- 生産性の向上 – 健康な従業員による高いパフォーマンス
■まとめ:今こそ取組みを始めるタイミング
人手不足が深刻化する中、従業員の健康をサポートすることは企業の持続的成長にとって不可欠です。
2025年度は、制度整備の絶好のタイミングです。
助成金を活用すれば、コストを抑えながら環境整備を進められます。
その後、段階的に認定取得を目指すことで、企業価値の向上にもつながります。
まずは自社の状況を見直し、できる取組みから始めてみてはいかがでしょうか。
従業員の健康を守ることが、結果として組織の維持・発展につながるはずです。
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