助成金活用のヒント

労災特別加入

事業主は、原則として労災に入れません。

労災、労働者災害補償保険は、「労働者」のための制度だからです。
労働者とは、労働基準法9条に定義があり、
「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」となります。
要は、事業をしている人に給料をもらって雇い入れられる人のことです。
なので、雇い入れているほうの人(事業主)は、労働基準法上の労働者には該当せず、労災保険法の補償の対象外となります。

しかしながら、事業主といえども労働者と同様な働き方をしている人も少なくありません。

そこで、そのような働き方をしている事業主を労働者に準じて保護することがふさわしいとみなし、一定の要件のもと、労災保険に加入することを認めています。


特別加入制度の種類

・労働者を雇い入れている中小事業主
・一人親方(労働者を雇い入れず建設業などの事業を行っている者)
・海外派遣者
・特定業務従事者

があり、私の夫は建設業の一人親方ですので、一人親方の特別加入制度に入っています。

労災が起こるなんて、普通は考えません。
しかし、もし重大な災害が起こったとき、かかる治療費は莫大です。
労災で骨折でもしようものなら、すぐに100万円単位の治療費がかかっているのを、労災課で診療報酬明細書を確認していてよく見かけました。
労災認定されれば、基本的に治療費は全額が労災保険から支給されます。
治療のため働けない期間の休業補償と、万一、障害が残った場合は障害に対しての給付もあります。

なので私の夫には、特別加入をしてもらっています。

 


特別加入制度を利用するなら

商工会議所や建設国保の団体など、窓口はたくさんありますので、身近なところに問い合わせるとよいでしょう。
ちなみに、私は特別加入の事務を行うことのできる「兵庫SR経営労務センター」に所属しており、夫もここで加入しています。

特別加入を検討されている方は、どうぞ当事務所にお問い合わせください。

特別加入保険料は、希望した給付基礎日額に応じて決まります。給付基礎日額は、3,500円から25,000円まであります。

給付基礎日額とは、保険料や、休業(補償)給付などの給付額を算定する基礎となるもので、申請に基づいて、労働局長が決定します。給付基礎日額が低い場合は、保険料が安くなりますが、その分、休業(補償)給付などの給付額も少なくなります。

夫の場合、10,000円を選択したので、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの期間に対し、65,700円の保険料になります。
(兵庫SR経営労務センターは、別途 月会費2,000円、年24,000円が必要です。)

保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。

 


労災保険で補償される主な内容

<療養(補償)給付>
労災指定医療機関等でかかった治療費が、基本的には全額労災保険から支給されます(現物給付といいます)。

<療養の費用>
労災の非指定医療機関で自己負担した治療費や薬剤費、通院に要した交通費などを請求できます。

<休業(補償)給付>
療養のため、労働することができなかった期間の4日目から支給されます。これには、主治医の証明が必要です。

うちの夫の場合、休業1日につき給付基礎日額10,000円の8割(6割が保険給付、2割が特別支給金)の8,000円が支給されます。

「休業(補償)等給付については、特別加入者の場合、所得喪失の有無にかかわらず、療養のため補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務または作業について全部労働不能であることが必要となっています。全部労働不能とは、入院中または自宅就床加療中もしくは通院加療中であって、補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務または作業ができない状態をいいます。」(厚生労働省リーフレットから一部抜粋)

 一般的な休業(補償)給付は、「賃金を受けない日」というのが大事な要件の一つですが、特別加入者については「所得喪失の有無にかかわらず」支給される、というのがポイントです(「賃金を受けない日」については細かい規定がありますが、ここでは省略します)。

 また、「全部労働不能」に対し「一部労働不能」というのがあります。「一部労働不能」の日については、労働者が一日の所定労働時間のうち、一部分だけ(例えば2時間だけ)労働することができたとして、その働いた2時間分の賃金が支払われたとき、給付基礎日額(労働者の場合は平均賃金を算定します)から支払われた2時間分の賃金を引いて、その差額の60%が支給される、というしくみがあるのですが、特別加入者にはそのしくみはありません。

<障害(補償)給付>

 傷病が治癒(これ以上医学的な治療を続けても、医療効果が期待できなくなった状態、症状固定ともいう。)したときに、痛みや運動麻痺などの障害が残ったとき、その障害が障害等級表に定める障害に該当すると認められると支給されます。

支給額は、障害等級と前述の給付基礎日額に応じて決定されます。

<遺族(補償)給付>

被災労働者が死亡したとき、その収入によって生計を維持していた配偶者や子どもなど、一定範囲の遺族に支給されます。

 

そのほか、介護、葬祭に関する給付や、子どもがいる場合は就学援護費もあります。

 

労災認定されると、その補償はとても手厚いです。

備えあれば患いなし、事業主様自身と家族のために、特別加入しておきませんか?

労災請求様式の書き方がわからない、などのご相談も、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

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