助成金活用のヒント

協力雇用主制度

 犯罪や非行をした人の立ち直りを支える「雇用」という社会貢献

犯罪や非行をした人の自立や社会復帰に協力することを目的として、犯罪や非行をした人であるという事情を理解したうえで雇用する事業主のことをいいます。

犯罪や非行をした人の円滑な社会復帰のため、法務省と厚生労働省で行っている制度です。

保護観察所に協力事業主として登録することによって、保護観察対象者を雇用する場合に「刑務所出所者等就労奨励金」の支給や、公共事業の優遇措置を受けることができるようになります。


刑務所出所者等就労奨励金(法務省)

保護観察の対象となった人などを雇用し、就労継続に必要な生活指導や助言などを行う事業主に対して支給

奨励金は、保護観察所長から「協力等依頼」により、支給対象となるので、依頼がない場合は対象となりません。

支給対象事業主とは
1,保護観察所の協力雇用主として登録している事業主であること
2,保護観察所からの依頼を受け、実際に、保護観察対象者等を雇用し、その就労状況等を保護観察所等に報告すること

Aコース:年間最大72万円が支給される

支給期間・支給額 雇用開始~6か月     月額8万円(最大)×6
9か月目、12か月目   各12万円(最大)
支給対象者 保護観察又は更生緊急保護対象者であり、かつ矯正施設在所中に協力雇用主のもとでの就労に向けた調整が行われた者
協力雇用主
(支給対象事業主であることに加え、右記の要件を満たす)
①矯正施設在所中からの就労支援の調節を行い、出所(出院)後原則として1か月以内に雇用を開始していること
⓶正社員又は1年以上の雇用継続を見込み、原則、週30時間以上雇用していること
③労災保険、雇用保険の加入手続きを行っていること

 

Bコース:年間最大42万円が支給される

支給期間・支給額 雇用開始~3か月目   月額最大2万円×3
4~6か月目 月額4万円(最大)×3
9か月目、12か月目   各12万円(最大)
対象者  保護観察対象所等(矯正施設在所中の調整の有無を問わない)
協力雇用主
(支給対象事業主であること)
①Aコースの支給を受けていないこと
⓶労災保険、雇用保険の加入手続きを行っていること

★A,Bコース共に、雇用している対象者が雇用開始時に20歳未満で、職場定着のためのフォローアップが行われた場合は雇用開始から6か月間までは月額1万円を加算

 


試行雇用助成金(厚生労働省)

刑務所出所者等を試行的に雇用した場合、最長3か月間、月額最大4万円を支給

事前にハローワークに求人を提出し、ハローワークの紹介により対象者を雇入れ、一定の要件を満たすことが必要です。

 


身元保証制度(法務省)

身元保証人のいない、犯罪や非行をした人を雇用した日から最長で1年間、事業主に業務上の損害を与えた場合、被保証人1人当たり200万円を上限として見舞金が支払われます。

 


公共調達優遇制度(法務省・地方公共団体)

法務省発注の矯正施設に係る工事の一部の競争入札において、協力雇用主による保護観察対象者の雇用実績を評価する総合評価落札方式を採用しています。地方公共団体でも、同様の優遇措置を導入するところが増えています。

協力雇用主になるには

各都道府県にある保護観察所に登録し、地区協力雇用主会に入会する必要があります。
現在、全国で約25,000社が登録しています。


ひとことコメント

刑務所出所後に再犯をして刑事施設に入る人の多くが仕事をしていなかった、あるいは身近に支えてくれる人がいないことが再犯につながってしまった・・・とよく耳にします。
就労し、居場所があることが、再犯を防ぐ大きな手立てであることはわかっていても、なかなか刑務所に入っていた人を雇入れることはハードルが高いかもしれません。
「刑務所出所者等就労奨励金」や「試用雇用助成金」のほかに、「身元保証制度」や様々な行政のサポートもあります。
令和3年10月で、24,665社が、協力雇用主として協力しています。
今後さらにそのような人たちの就労場所が増え、事業主側としては人材不足の解消の一手になれば、と思います。

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