求人票トラブルで最も多いのは「賃金」の記載
求人票をめぐるトラブルで、最も多い苦情内容をご存知でしょうか。
ハローワークへの申し出・苦情、そして民間職業紹介機関を利用した就職活動における不満の両方で、第1位は「賃金に関すること(固定残業代を含む)」です。
特に多いのが、こんなケース:
「求人票には固定残業代の記載がなかったのに、面接に行ったら基本給に固定残業代が含まれていると言われました」
このようなトラブルは、企業イメージを損なうだけでなく、優秀な人材を逃すことにもつながります。適切な記載方法を知っておくことが、採用成功への第一歩です。
ハローワーク求人票で必須の3つの明示事項
固定残業代制を採用している場合、募集要項や求人票には以下の3つをすべて明示する必要があります。一つでも欠けたり、固定残業代が正しく計算されていないとハローワークで受け付けてもらえません。
①固定残業代を除いた基本給の額
「月給30万円」とだけ書くのではなく、基本給(及びその他の手当て)と固定残業代を明確に分けて記載します。
良い例:
月給30万円(基本給24万円+固定残業代6万円)
NG例:
月給30万円(固定残業代含む) ← 基本給額が不明
月給30万円(みなし残業代含む) ← 金額が不明
②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
何時間分の残業代なのか、どのように計算したのかを明示します。
良い例:
固定残業代6万円(時間外労働40時間分)
NG例:
固定残業代6万円 ← 時間数が不明
固定残業代として支給 ← 金額も時間数も不明
③固定残業時間を超える場合は追加で支払う旨
これは法律上の義務です。必ず明記しましょう。
『時間外手当は、時間外労働の有無にかかわらず〇〇時間分の時間外手当を固定残業代として支給し、○○時間を超える時間外労働分は追加で支給します』は必須です。
よくあるNG事例:こんな記載は要注意
NG事例1: 面接で初めて固定残業代の話をする
求人票に記載がないのに、面接の場で「実は基本給に固定残業代が含まれています」と説明するケース。これは完全にNGです。応募者との信頼関係を損ね、内定辞退やトラブルの原因になります。
NG事例2: 「みなし残業代」とだけ書いている
「月給28万円(みなし残業代含む)」だけでは不十分です。3つの明示事項をすべて記載する必要があります。
NG事例3: 計算方法が間違っている
固定残業代の計算を誤っている会社は意外と多く、そのままではハローワークで受け付けてもらえません。正しい計算方法については、次回の記事で詳しく解説します。
固定残業代制度を適切に運用するために
固定残業代には、明確区分性と対価性が求められます。
明確区分性: 基本給と固定残業代を明確に区別すること
対価性: 固定残業代の額が実際の残業時間に対する対価として合理的であること
また、労働基準法の労働時間の上限規制(特別条項がある場合でも、月に80時間)を超えるような長時間労働を前提とした固定残業代は、民法90条による公序良俗違反として無効とされる可能性が高いです。
固定残業時間を超える労働時間については、超えた部分について追加で支払うことが必要であることは言うまでもありません。
まとめ:3つのルールを守れば大丈夫
固定残業代の記載で失敗しないためには、次の3点を必ず明示することです。
- 基本給とその他手当の額(固定残業代を除いた額)
- 時間数と計算方法
- 超過分は追加で支払う旨
これらを守ることで、応募者との信頼関係を築き、採用後のミスマッチを防ぐことができます。
次回は、固定残業代の正しい計算方法を具体例とともに詳しく解説します。「うちの会社の計算、本当に合ってるのかな?」と不安な方は、ぜひご覧ください。
【次回予告】 固定残業代の正しい計算方法【ハローワーク受付基準をクリア】
ステップバイステップで計算方法を解説
年間休日数から所定労働時間を算出する方法
実際の求人票記載例
求人票の作成や固定残業代の設定でお困りの際は、お気軽にご相談ください。









