助成金活用のヒント

フレックスタイム制における教育訓練(人材開発支援)助成金の注意点

「所定労働時間の管理」が受給のカギ

働き方改革の一環として「フレックスタイム制」を導入する事業所が増えています。
柔軟な働き方を推進しながら、助成金を活用して社員のスキルアップを図ることは非常に合理的ですが、この制度下での教育訓練(研修)には、通常の労働時間制とは異なる特有の管理ルールが存在します。

特に「賃金助成」の受給を検討されている場合、実務上の運用次第では助成対象から外れてしまう可能性があるため、その仕組みを正しく理解しておくことが重要です。


1.助成対象となるのは「所定労働時間内」の訓練のみ

人材開発支援助成金などの賃金助成は、原則として「所定労働時間内」に実施された訓練に対して支給されます。

◆賃金助成の原則: 所定労働時間外や休日に受講した時間は、原則として助成額の算定から除外されます。

◆経費助成の扱い: 受講料などの経費助成は、所定労働時間内かどうかにかかわらず対象となりますが、「業務上の義務として労働時間中に実施されるもの」に限られます。


2.フレックスタイム制における「所定労働時間」の定義

フレックスタイム制とは、「始業時刻と終業時刻を労働者の決定に委ねる」制度です。
1日の労働時間を固定せず、清算期間(1か月以内)の総労働時間を定めます。

助成金制度においては、この「清算期間における総労働時間」が所定労働時間に該当します。

例えば、労使協定で「その月の所定出勤日数 × 8時間」と定めている場合、月20日出勤であれば160時間がその月の所定労働時間となります。


3.運用上のリスク:総労働時間の「枠」を超えた場合

特に注意すべきなのは、訓練を実施するタイミングです。

フレックスタイム制では日々の労働時間を労働者が決めるため、月の中盤までに多く働いた場合、月の合計労働時間がすでに設定した「総労働時間の枠(例:160時間)」に達してしまうことがあります。

この枠を超えた後に行った訓練は、実務上「所定労働時間外」の訓練とみなされ、賃金助成の対象外となる可能性があります。

特に賃金締切日が月末に近い日程で研修を実施する場合、それまでの労働時間の積み重ねによって、せっかくの訓練が助成金要件を満たさなくなるリスクがあります。


4.適切な制度運用と管理のために

フレックスタイム制は労働者に時間配分を委ねる制度ですが、使用者には各労働者の労働時間を把握する義務があります。

助成金を確実に活用するためには、タイムカード等の客観的記録に基づき、適切に労働時間を管理することが不可欠です。

・訓練実施時の実労働時間が、設定した総枠(所定労働時間)に収まっているか

・就業規則や労使協定が、最新の助成金要件を充足しているか

・就業規則や労使協定に基づいた適切な労働条件通知書が交付されているか


当事務所のサポートについて

当事務所では、フレックスタイム制の導入支援から、助成金受給を見据えた労務管理のアドバイスまで幅広く承っております。

現在の運用に不安がある、あるいはこれから制度を導入したいとお考えの際は、お気軽にご相談ください。

ご相談はこちらから

※なお、人材開発支援助成金につきましては、継続的な労務管理が不可欠な制度であるため、
原則として顧問契約を締結いただいている事業主様のみ受任しております。

顧問契約をご検討中の事業主様につきましては、まずは一度ご相談ください。

また、当事務所では、教育訓練会社様からの申請代行依頼は承っておりません。

 

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